2007/08/24より

 この夏の宿題にしていた村上春樹ノルウェイの森」(講談社文庫)を読了。売れ過ぎたこの小説のために、ムラカミハルキ本人がショックを受けた程の作品。この本は当時も、それ以降も売れ続けているベストセラー。何年か前に、最初数ページで挫折し、しばらく本棚に眠っていたのですが、はやいうち読んでおいた方がいいなと思っていました。長年の宿題をここで片付けておこうと手に取りました。

 

 感想は、前作「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」(新潮文庫)から比べると
ストレートな展開で、話の骨格自体は、はっきりと見えているだけに、何だかすべてが軽くて薄い。このライト感は、あとの国境の南~やねじまき~にはないですね。ただ、これ所々かなり×××なシーンが多いですね。まあ、それらがないと全くエンターテイメントとしては、締まらないですが。(あんまり、中高生にはどうかとおもいます)(もっと言ってしまえば、大学時代に読まなく良かった)(ちょっと遠くから眺める行為がこの小説にはちょうど良いです)読んでいて頭に浮かんだ風景は、月でしたね。満月でもなく、イメージしたのは三日月から上弦の月。「新しい月に抱かれた古い月」

 

地球照です。

 

 もちろん古い月が直子で、新しい月が緑です。段端と、月が満ちていくにつれて、古い月は消えてゆく。そんな感じでした。予定された結末に向けて、1969-70年という時代の歯車が回り続ける物語。しかし、本文にもある通り、ライ麦畑の主人公のような、ってのは本当にそう思いますね。丁寧というか何と言うか、こんなしゃべり方の人いないって。ムラカミハルキ熱がすでに冷めているからなんでしょうが、こういう小説ばかり読んでるとダメになると感じる自分がちゃんといます。ダメだよと言うことできる、それも必要なことじゃないでしょうか。